君のことが大嫌いだった









 

「周りが、見えなくなってて。ドリブルで切り込んでいってしまった。その時に、相手側にカットされてしまった。」


 それからは一瞬だった。


 相手チームがシュートして、上回った。


 全国の決勝戦で、第4Qで。


「・・・・・・先輩なら、分かると思いますけど、バスケは試合終了のホイッスルがなる前にどちらが勝つか予想出来るじゃないですか」


「・・・・・・あぁ、そうだな」


「その一瞬だったんです。ボールを取られてシュート入れられた時が。」


 あぁ、やってしまった、と。


「それからは、ご察しの通り、私のせいで負けたって言われて、私はバスケから逃げました。」


 あんな思い、もうしたくない。


 そう思った。


「チームメイトは何も言わなかったのか・・・?」


 あぁ、チームメイトね。


 思わず笑いがこぼれた。


「言いましたよ。『未海のせいで負けた』『あんたがあの時、パスすれば良かったのに・・・!』って」


 もう、何もかもめんどくさいや。


 変わらないでいてくれると思ってた。


 『最後まで、戦ったよ』って言ってくれると思ってたのに。