君のことが大嫌いだった









 
「あーの、先輩。」


「ん?」


 沈黙を未海が破った。


「先輩はどこで私のバスケ見ました?」


 去年の夏の決勝戦。


 これは、言っていいのか。


 言おうか言わまいか、悩んでいると未海は俯いて寂しそうに笑った。


「もしかして、去年の夏。決勝戦・・・・・・?」


 驚いて未海の方を見る。


 すると、未海は顔を上げた。


「当たってる・・・みたいですね。いとこから聞きましたか?」


 噂の事か?


「私のせいで負けたとか。なんとか」


「それだけ」


 それだけは知っている。


「・・・・・・私のせいで負けました。決勝戦」


 未海は再び下を向いて。


「それから。それから、私はバスケから逃げました。」


と。