君のことが大嫌いだった






 ただ。


 ただただ悔しかった。


 誰よりも、バスケが好きで。


 全国まで連れて行ったあいつが。


 あいつだけが。


 バスケやってるやつなら誰でも目指す全国の舞台で。


 こんなに辛い思いしてんだ。


「俺は全国の大会まで見に行けなかったから、渡野先輩に何があったまでは分からない。でも。俺がやっぱり、バスケは楽しいって思えたのは渡野先輩のバスケを見たからだったから。また、バスケしてくれるといいな。」


「そう、だな。」


 話がひと段落着いた時、琢磨が練習を終えてこっちに来た。


「なんの話してたの?」


「全中の話。」


 全国中学校バスケットボール大会。


 そう言うと、琢磨が俺に笑って言った。


「それだったら、俺、圭ちゃんと見に行ったことあるよ!ね!」


 え、いつだ?


「あったっけ?」


 そう答えると、琢磨は言った。


「行ったよ!去年の夏の大会!!決勝戦!!」


「・・・・・・うーん・・・・・・あ、…」