え。


 バスケをやっていなくても、きっと同じ中学だったら、私の事知ってるはず。


「そう、なんですか。」

 
 歯切れの悪い言い方をしてしまった。


 それ以外、宮田先輩と話すことはなかった。


 ただただ、電車乗って歩いて帰った。


1時間30分もかかるし、お互い無言なのに、特に息苦しいと思うことは無かった。


  先輩は何か考え事してるみたいだったし。


「じゃあ、私ここ左なので。」


 何分か歩いて、交差点。


 先輩がまっすぐ歩いて行きそうだったから慌てて言った。


「じゃ。」


 先輩はそう微笑んで言って、帰っていった。


 その背中を少し眺めてみる。


 たくましい背中。


 鍛えられた身体。



「見たいなー、先輩がバスケやってる姿。」



 そう思った。


 きっと、宮田先輩はバスケを一生懸命やるんだろうな。


 大好きなバスケを。


 全力で。


 ただ純粋に見たいと感じた。