「で、教えてくれる?どうしたらいいか。」
「先輩は、」
「うん?」
「聞かないんですか?なんで、私がバスケ部に入らないか。」
何となく、先輩の顔が見れなくて下を見たまま先輩に聞いた。
そう言うと先輩は近づいてきて、私の髪をクシャっとさせた。
「言いたくなさそうだから聞かない。あ、このことは誰にも言わないから。」
顔を上げると、先輩は優しく笑ってた。
無性に泣きたくなった。
中学時代。
何も知らない転校生が突然私に言った。
「ねえ、公園でバスケしようよ!」
もうその時は、バスケって聞くだけで辛くなっていて。
クラスメイトが気をきかせて、
「いや、恋香はやめて、私達とやろうよ!」
そう言った。
でも、その転校生は次の日に
「なんで、一緒にバスケやってくれなかったの?なんかあった?」
すごくしつこく聞かれたことがある。
なんでも、バスケバスケ。
聞くだけで辛いのに、ね。
何も知らないから、知りたい気持ちはわかるけど、私の表情もすこしは見て。
嬉しそうな顔してる?困っていた顔してた?
私はね、ただただ辛かっただけだよ。

