「え」
先輩は爽やかに笑っていた。
「やっぱり?」
もういっそのこと本当のこと言おうかな。
バスケ部であっても、高校でバスケ部に入るか入らないかは私の自由だし。
あ、でも翼先輩がうるさいか。
でも、このこと言って私のこと知ってる人いたらヤダしな。
「別に誰に言うわけでも無いんだけど、バスケやってただろうなと思って。」
「なんで、そう思いましたか?」
「うーん。そうだな。初めて、フリースローを打ちに来たときになんか見たことあるなって。」
「見たことあるんですか・・・?」
見たことあるとしたら中学時代。
バスケ命だった時。
バスケをするのが楽しくて、楽しくて。
シュートが入った時、嬉しくて、嬉しくて。
もっと練習しようって意気込んでた時。
「多分な。」
「そうですか。」
私がこの学校に入ったのは、バスケに関わっていなくてもバスケが盛んな高校に行きたかったから。
誰かが、綺麗なシュートを打つ瞬間をたくさん見たかったから。
誰かが、バスケを楽しんでいる姿を見たかったから。
でも、
私を知っている人が誰もいない所が良かった。

