君のことが大嫌いだった









  
  ボールカットする側、される側をさっきから交代しながらやっている。


 カットする側は特に問題は無いんだが、される側に問題がある。


 翼が言うに全く手応えが無いらしい。


 やっぱり、ボールをつく位置が高い。


 俺は基本、リバウンド取って、パスして、シュートの手助けをするためドリブルをする回数が少ない。


 俺はボールを持って、体育館から出た。


 「練習って言っても、何すりゃいいんだよ・・・」


 一人でやっても、低くなってきてるのなんてよく分からないし、誰かに練習に付き合ってもらうって言ってももバスケ部の奴らは練習してるからな。


 「あ」


 外から声が聞こえた。


 見てみると、渡野がいた。


 「帰りか?」


 「はい。」


 渡野はそれだけ言うと去ろうとした。


 「あ、待て。練習、付き合え。」


 そう言うと、足を止めた。


 「・・・・・・体育館で練習してるんじゃないんですか?」


 「あー、訳ありで自主練。」

 
 「はぁ。」


 まるで、帰りたいと言わんばかりの顔だ。


 「おっし。付き合え。」


 そんなの関係無しだ。


 そういうと渡野は渋々、カバンを下ろした。


 「なんの練習ですか?」


 「ボールカットされない練習。ドリブルの位置が高いって言われた。」


 俺等は、体育館の裏で練習することにした。