「はい・・・。」
体育が始まる前に、渡野はソフトボール投げが得意だし、ボールをパスするのも上手いから次の体育はボールを使ったスポーツをしたいねっと話していたそうだ。
しかし、先生からバスケをやると言われた時から、渡野の様子がおかしくなったようだ。
「私と結衣は、未海が体育で活躍できるのが見える嬉しさがありました。
でも、未海は何を言っても、反応しないんです。
思いつめたような表情を浮かべるだけで・・・シュートを打とうとも、最初はボールを持とうともしないんです・・・。
先生に『やる気が無いのか！』って怒られても耳に入って無いみたいで・・・。」
「もしかしたら、バスケが嫌いなんじゃないかなとか、昨日無理やりバスケ部のとこに連れていったからなのかなとか、未海の気もしらずに喜んだからなのかなとか思って・・・」
「聞こうと思ったけど、聞いてもいいのかと、」
「「はい」」
そう答えると二人はもっと暗い顔をして落ち込んでいた。
その後の授業も休み時間もぼーっとしたままだったらしい。
