「未海ちゃん、バスケやってると思うんだ。いや、やってたの間違いかな?」
翼は体育館を見ながらそう言った。
俺も体育館を見てみた。
今は、シュート練習をしているようだ。
その中で、渡野未海はチームの練習をただ端の方で見ているだけだった。
女子体育を教える田中は指示したら放置するタイプなので、真面目にシュート練習をするものもいれば、見ているやつ、喋っているやつと様々だった。
渡野の近くにいつもいる2人が話しかけているようだが、全く耳に入っていない様子だった。
「・・・そーか?」
翼には曖昧に答えた。
「俺、バスケだけだからバスケのことしか分からないけど、あの子バスケセンスがあると思う。実際、見てないからわかんねーけどな。」
翼は小さく笑って言った。
翼はあいつがバスケをやっている姿を見たいと強く思っていた。
「・・・・・・そうだな。」
「え?」

