渡野未海。


 バスケはあまりやったことがないと言っていた、1年生の女。


 翼にフリースローを打てと言われた、どこか抱ええているような。


 どこかで会ったとこのあるような――――。


 初めて渡野を見た時、俺は直感で「こいつ、知ってる。」と思った。


 どこで会ったか覚えてないし、間違いだと思っていた。


 翼にフリースローを打てと言われたとき、フリースローラインに立ったとき。  


 やっぱり、知っている。


 ボールを左手で持ち、右手で軽く支えるあの構え。


 今まで、たくさんのやつ戦ってきて、左利きのやつだっていた。


 でも、構えがどこか独特で。


 構えもしっかり出来ていて、初心者じゃないなと感じた


 でも、彼女は打とうとしなかった。