君のことが大嫌いだった





 「う、ん。」


  濁ったような返事をしてしまった。


 「覗いてみる?」


  椎花が急にそう言った。


 「行ってみよ!」


  結衣が私の手を引いて体育館に向かった。





  正直、行きたくなかった。



  いや、行きたかったのかもしれない。



  懐かしい。



  ボールをつく音。



  ボールがゴールに入る音。





  さすが、陸上部の結衣。


  あっという間に体育館に着いた。


  そのあとに遅れて椎花が着いた。


 「覗いていいのかな?」


  そう言いながら近づく結衣と椎花。


  私の足は動かなかった。