「........!?ほ、惚れ!?」
「惚れました」
え........。
これは夢?それとも幻覚?
あの健二さんが、私を....?
「じょ、冗談ですか?」
「よく軽そうとか言われるけど、女の子の気持ちを踏みにじるようなことはしない。冗談で告白なんてしない」
からかって告白なんてしたりするのは、高校1年生まで。
私の姉はいつしかそう言っていた。
高校2年生からは精神的にも大人になり、冗談で相手の気持ちを弄んだりするやつは人間のクズだと。
「俺、22だし中学生相手に告白なんておかしいと思う?」
「そ、そんなことは」
世間じゃ年の差婚なんてあるし、恋愛に年齢は関係ないと。
健二さんは腕を伸ばし、私を抱き締めようとしたが、ピタリと動きが止まった。
「俺、本気だよ。本気で藍ちゃん好きだから。初めて見た日からずっとずっと」
「あ、あう........」
私もです。
その一言を言わなければ。
私は健二さんの目を見てゴクリと、緊張を呑み込んだ。
ほんの少し、ほんの少しの勇気を出して。
「私も........です」
「うん?」
「わ、私もしゅきです!!」
............う、わあああ!
か、噛んだ!噛んだ!
車内は再び静まり返り、私は両手で顔をふさいだ。
健二さんとは逆の方に、ギリギリまで寄って窓に頭をコツンと当てた。
やだやだ、恥ずかしい。
「藍ちゃん........」
「ひゃうっ」
首になにかが辺り、両手を顔から外してしまった。
なんだろうと見てみると、健二さんの手が首に当て、そこから顎に触れた。
「健二さ....」
「じゃあ付き合ってくれる?」
「............っ!もちろんです!!」
断る理由がない。
赤い顔を隠さずに健二さんと見つめ合う。
とても嬉しそうに笑い、長い睫毛が近づいてきたなと思ったら形の良い唇が私のそれと密着した。
「(顔真っ赤だ)」
「(健二さんだって負けてませんよ)」
「(俺、どのタイミングでお礼渡せばいいんだ?)」
END



