「中学生に励まされる気がした、ってのも変だけど....」



健二さんはなにが言いたいのか。

私は美和ちゃんのように頭が良いわけでも、察しが良いわけでもないので、読めない。




窓から光が反射して、健二さんの耳についているピアスが光輝いている。

それが眩しくて彼の胸の辺りを見る。



「藍ちゃん」

「は、はい」



私と健二さんの間に空いていた隙間をなくし、体を密着させてきた。


驚いて健二さんのほうを見上げると、そこにチャラい男性はいなかった。


影で髪は黒くなり、顔は真剣そのもの。




娘さんをください、と彼女のお父さんに頼むような顔だった。




かと思いきや、ふわりと一瞬にして表情を変え、誰をも魅せるような優しい微笑みで口を開いた。


少なくとも私は魅せられた。



そして、今度は私を魅せるだけじゃなく、虜にするような甘い声色でしっかりとした口調で言う。










「そんな藍ちゃんに惚れました」