カラク暴走族は私の下僕(短編集)

「昨日、お前が来る前あいつが来たんだ」


あいつというのは中河のことだという前提で皆聞いているのだろう。
全く。私と涼の喧嘩にカラクは関係ないのに。


にしても、あの女を部屋に入れたんだ、ふうん。



「まあ、簡潔に言うとコクられた。もちろん断ったけどな」

「ふうん。その腹いせであれを置いてったわけね」

「あぁ」



フラれたからってみっともないな。
その行為がもっと醜くするってことを分かってないのか。



「でも、フラれたからって引き下がる女には見えなかったけど」



チラリと涼を見ながら言ってみたが、そこは「大丈夫だ」と揺るぎない目をして返された。


どういうことだと思っていると、運動している健仁が説明をした。


「釘を刺したというとこかね。だって晴夏ちゃん不愉快だったんでしょ?だったら俺らからしても邪魔なんだよね」



ちなみに健仁は22歳だ。



「怪我とかはさせてないけど、今度ウチらに近づいたらカラク総出で潰すからねって脅しただけだよ。勇生が」



勇生(いさお)とはカラクでも強面の奴だ。

勇生強え。



「だから大丈夫だ。部屋も掃除したし除菌もした。あいつの個人情報も色々手に入れたし、もうなにもしてこないだろ」



ふ、ふうん。



「だから、悪かった。昨日は言い過ぎた」

「別に」

「あいつとはなにもねえからな。変な関係持ってねえからな」

「分かってる」



はぁ、と重い息を吐き出して左肩に頭を置いてきた。



「ほんと悪い」

「だからもういいって」



左手に指を絡ませてぎゅっと握りしめてきた。
表情は見えないが、離れたくないのか。

あー、可愛い奴だな。



「じゃあ俺ん家行こ」

「え、今日はサヤカと遊ぶ約束なんだが」

「あぁ!?」

「ひっ!ご、ごめんね矢野口くん!! 」



サヤカの名前を出すと勢いよく頭を上げ、助手席のサヤカをドスのきいた声でビビらせる。



「涼、いいじゃん今日くらい」

「............チッ」



舌打ちした後、今度は膝に頭を乗せてきた涼。

所謂膝枕というやつ。




「ふふっ、また明日構ってあげるから」

「........ふん」



拗ねる涼も可愛い。
















サヤカがホッと胸を撫で下ろしていたのは知らなかった。