カラク暴走族は私の下僕(短編集)


キーンコーンカーンコーン


1日の授業が終了し、生徒が部活動や下校する時間になった。

教室から生徒が出て行くのを横目に、私はスカートのポケットからスマホを取り出してメールを受信してないか確認してみる。


あいつが意地っ張りで照れ屋ということは知っているので、謝罪メールが来ていないか確認するのも無駄かもしれない。


画面に表示されている文字がその証拠だった。

[受信メールはありません]



「晴夏ちゃん、どうかしたの?」

「いや、あいつからのメールが来てないか見てたんだけど....やっぱそうだよなあ」

「矢野口くん、意地っ張りだもんね」



鞄を持って私を待つサヤカ。

スマホをポッケに入れて鞄を提げ、サヤカと一緒に教室を出た。



「今日も溜まり場に行くの?」

「まさか。涼と会うのも気まずいし、なにより中河がいる」

「そっか。あの人、カラクじゃないんだよね?」

「当たり前だろ。仲間に引き入れてきたら私が許さん」



サヤカもあの女が嫌いなのか、声のトーンを下げながら話す。


カラクという言葉を口にした途端、近くにいた男子生徒がパッと振り向いてくるのが一々不愉快だ。



「じゃあ今日は私と遊ぼ!」

「うん、そのつもり。どこ行く?」



これからの予定を立てながら下駄箱で靴を履き替える。

最近はずっと涼たちとばっか遊んでいたし、サヤカと2人っきりでお出掛けしていない。

学校帰りに中学生がゲーセンやショッピングモールに行くのもどうかと思ったけど、暴走族(仮)と関わりを持ってる時点でアウトか。



「ふふっ、久しぶりに2人で遊べるね」



にこっと可愛らしい効果音がつきそうなくらいに微笑んでくれるサヤカが眩しい。

サラサラとサヤカの髪が靡くのを微笑ましく眺めていたら、傍にいた生徒がザワザワと騒ぎ始めた。




「おい、見たかあれ」
「ああ、やばくねえか」
「1年の佐々原の関係者じゃねえのか」
「カラク?」
「うわ、やべえよ。裏門から出ようぜ」
「目を付けられないようにしねえと」




コソコソなんてものじゃなく、堂々と言い放っているもんだから眉間にしわが寄っても仕方ない。

その話し声を聞いたほかの生徒の「裏から帰ろう」や「正門から出るな」等の相談も耳に入ってくる。



「晴夏ちゃん、もしかして校門にカラクの人たちがいるのかな?」



不安そうに袖を掴んでくるサヤカが小動物のように見えて、私が守らなければという使命感で顔が引き締まる。


単に2人で遊ぶのを邪魔されたくないだけなんだろうけど。



「ちょっと文句言いに行ってやろう」



踵をきちんと靴の中に入れてサヤカと共に校門へ向かった。