それは昨日の夕方。


私は涼の部屋を訪ねていた。丁度涼はコンビニへジュースを買いに行っている。


一人でスマホをいじっている時だった。


少し目が疲れたので、スマホから目を逸らして何気なく床を眺めていた。


涼の部屋にある小さなテーブルに身を任せ、ベッド付近の床に視線をやると何やらピンク色のものが目に留まった。



涼の部屋はシンプルで、白い壁と水色の布団があるベッド以外にこれと言って目立つ色はない。


私の私物の少しは涼の部屋に置かせてもらっているものもあるが、あまりにも女の子らしい色は好まないので、そのピンクのものは私のではない。



一体なんだろうか。



そう思ってスマホをテーブルの上に置き、桃色の物体を拾い上げると。



「......................え、これって」



一瞬言葉に詰まったが、アレにしか見えない。


拾い上げたそれをすぐに床へポトリと落とし、頭を回転させる。



何故これが?私の.....じゃあない。じゃ、誰の?



私は床に落ちたソレ____ピンクの下着を怪訝な顔して見つめる。



誰かの忘れ物か。
いや、でもこんなものを忘れる女がいるのか。これがなかったらどうやって帰るんだ。
ノーパンか?まさかそういう趣味の奴なのか。



私の知っている限り(というかカラク全員知っているが)、こんな派手な下着を持っている女の子は結構いる。

まあ、チャラチャラしているギャルっぽい子ってほとんどがこういう色のものを身に着けている。



まず、サヤカには似合わない。あいつならもっと薄い、淡い桃色を選ぶだろうしこんなところに恥ずかしい物を置いて帰るわけない。


じゃあ誰だ。そう考えたときに1人の女が浮かび上がった。




確か____中河 南(なかがわ みなみ)。




カラクの奴じゃないが、最近鬱陶しいくらいに涼に引っ付いている害虫。雌豚。

明らかに涼目当てなのはバレバレで私を目の仇にしているブリっ子。

何度も涼との時間を割かれ、見せ付けるように腕を絡めたり顔を近づけていたり。私を最近苛つかせているブス女。



あの女の仕業かもしれない。



そう思い、改めて派手なソレを見るとついつい触った右手をベッドに擦り付けた。