「...え?」



待って、え、え?

今なんて言った!?



「七恵ちゃんが初めてここ来た時から一目惚れでね~。めちゃめちゃ可愛い子だなと思って、狙ってたんだけど。気づかないからさ、七恵ちゃん」



私を両腕で抱きしめた巻野さん。


私の体は軽く震え、まるで大勢に見られながら写真を撮られているくらいに震えが止まらない。



「ははっ、震えてるね」



耳元で囁くように、イケメンボイスで喋るものだからビクッと肩が大きく震えた。



「ね、七恵ちゃんは?なんて言おうとしたの?」



今、巻野さんは私のほうに視線をやっているのたろう。私は巻野さんのほうに顔を向けれない。



私がなんて言おうとしたのか。


それは、巻野さんのこと。名前は出さず、巻野さんの性格や見た目等を語ろうとしていた。


告白してフラれて、気まずくなるのが嫌だったから。


でも今はどうだろうか。私がyesと言えばもしやこれは両想いになるではないか。


彼氏彼女になれる。



巻野さんのこの発言が嘘でないことは、彼の声色や真剣な表情で分かったし、乙女心を傷つけるような冗談は言わない人。


まだふるふると震えている体。


抱き締めている巻野さんに応えようと、私も腕を恐る恐るその体格の良い体へ巻き付ける。



「私も......私も好きです」



かっこ悪いことに、声も震えている。

嬉しすぎて少しニヤけているかもしれない。
嬉しすぎて少し涙がでているかもしれない。
嬉しすぎて少し体温が上昇したかもしれない。



「やった」



私の告白を聞いて、より強く抱き締められた巻野さんの腕。



今までの人生、生きてて一番嬉しい出来事。


ホロリと一筋の涙が頬をつたい、互いを見つめ合う。


泣きながら笑う私は、巻野さんの瞳にどのように映ったのか。



そんなことを考える暇もなく、淡い桜色の唇が近寄ってきて私のそれをふさいだ。