どんな人って...。だから貴方です。


真剣な表情で尋ねてくる巻野さんに、私は妙にドキドキした。



いつもの巻野さんなら、肌寒くなってきたこの時期に女の子を外に立たせるようなマネはしないのに。


そんな思考もおいてけぼりで、私はもしかしてとプラスになってきた。



いや、そんなことはありえないけどね。そんな可能性ないと思うけど......でもやっぱり希望は捨てられない。



「私の好きな人、ですか?」

「うん。聞いてもいいかな」



爽やかな笑みではなく、どこかぎこちない笑みだった。



これは、期待してもいいのかな。


いやだめだ。


変な期待して、違ったら、その時のショックは半端ないものになってしまう。


ショックを和らげるためにも、もしかしたらという想像はしないほうがいい。



私はなんとも言えない気持ちで巻野さんを見上げるような体勢になる。



「私が言ったら、巻野さんも教えてくれますか?」

「えっ、俺?」

「はい。だめですか?」



私だって、聞きたい。


巻野さんの好きな人が私じゃないという事実を、せめてオブラートに包んで言ってほしい。


さっきは気を遣ってほしくないと思ってたんだけど....。


でも、オブラートに包んでくれたとして、それで諦めれるの?


今までだって巻野さんに好きな人がいるかもしれない、という予想はしていたし......。



だから.........でも.........。



自然に下唇を噛み締めていた。



「......やっぱタンマ」



待って、とストップをかけられた。



「俺から言うから、七恵ちゃんはまだ言わないで」



レディファーストじゃなくて悪いけど。


そう言ってイヒッと笑った。


その笑顔で熱が顔に集中した。

よかった、少し暗くなってきてて。



私は俯いて一度、巻野さんに気づかれないように大きく息を吸った。



大丈夫、別に好きな人がどんな人であろうとまだ諦めないから。

見ているだけの恋愛、片想いの恋。それでもいいじゃない!


スカートを小さくパンパンと叩いて、向き直った。






















「好きだよ、七恵ちゃん」