翌日。


部活が終わっていつもの通りコンビニへ寄る。

ヘトヘトになりながらも、巻野さんに会える!と思えばどうってことない。



「今日もコンビニ?」

「うん!」

「飽きないねえ」

「えっへっへ。あっ、私こっちだから」

「知ってる。じゃあね!」

「はーい」



友人と帰りながら、分かれ道を行くとコンビニが見えてきた。

薄暗くなってきている空に、コンビニの明かりが少しばかり映えている。


足取りが軽くなりながら、ドアを開けようとしたが、すぐに気づいて手を止めた。



あれ?巻野さんは?



レジに巻野さんがいない。
いつもなら私がここに着くこの時間帯は、巻野さんが当番のはずなのに。


今は20代の男性が立っている。


あれれ?


もしかしてゴミ捨てかな?

私はそう思って入るのを止め、歩き出した。



ここら辺のゴミ捨て場は、このコンビニの裏。

じゃあちょっと、そこに行ってみよう。


以前私なら絶対にしなかった選択肢。
昨日巻野さんに話しかけてもらえたからか、2人の仲がほんの何cmか縮まった感じがした。


そのせいで勇気もほんの少し出た。


ゆっくりのテンポで歩き、コンビニの裏口辺りまで来た時だった。



「_______で、なん____っスか?」



どなたかの話し声が聞こえた。
しかし、この声色には気か覚えがあった。


巻野さん、だ。


私は咄嗟に身を隠し、曲がり角のところで息を潜めた。


って、別に隠れなくても......!

あ、いや。今出ていってどうするんだ私。
とくにゴミ捨なんて用はないよ。



「あー、本当すみません。今バイトでして」



今度はきちんと聞こえた。

誰と話してるんだろ、と様子を伺うと、どうやら相手は電話の方だった。


あっ、巻野さんのスマホの色、私と同じで水色だ。



「え、そうっスか?」



相手、年上かな。巻野さんが敬語遣ってるってことは。

と、そこは私には別に問題ないところ。
しかし、問題があるのは相手の性別。

女か男か!



「この後っスか?あぁ、はい、大丈夫っス。なんなら店長に頼んで賞味期限近いやつもらってきましょうか」



商品の話かな。

胸の内のもやもやは未だに存在する。
女か男か!



「泊まりますよ、自分も」



と、泊まる!?

私の心拍数はどんどん上がる。



「なんで、夜食の問題もいらないスよ」



お友達...じゃないよね....?敬語だし....。
夜食ってことは、仕事とかしてる人?


じゃあ、社会人の方かな?


そう思って胸を撫で下ろす。



だが次の発言に、問題があった。






「そんじゃ、待っててください。






晴夏さん」