「い、一生」

「今更言い直しても遅い」



機嫌を損ねてしまったが顔がニヤつく。



「.........なにニヤけてんの。キモい」

「そのキモい奴がお前の彼氏だ」

「...ふんっ、自分がキモいって認めてやんの」



......今日はその毒舌も許してやろう。


それにしても、一生か。


晴夏からそんな言葉を聞ける日がくるとは思ってもなかった。

一生って、言ってほしかったってことは少なくとも、こいつも一生って思ってるってことだよな。


付き合う前とはまるで別人だな。


これが愛の力か。



「もう帰るよ」

「えっ」



カタッと立ち上がってお勘定をしにさっさと行ってしまった晴夏の後を追う。



もちろん代金は俺が全て払った。



先々歩く晴夏の横に並びながら、晴夏の横顔を眺める。


あ、耳真っ赤。



「......ジロジロ見てんじゃねえよ」

「耳赤いけど?」

「っせ」



はあ、可愛い。

身長差は1cmだから横からの表情ははっきり見える。


どちらが小さいかは黙秘権を通す。



「てかさ」



ピタリと動きを静止した晴夏に俺も足を止める。


通りすぎる人たちが「邪魔」とでも言いたげにチラリ見てくる。

その視線には晴夏に対する下心のものも入ってるのでウザい。



「お前らなにやってんの?」

「は?」



晴夏が振り向き普段の声よりも少しトーンを大きくした。

俺も振り向いて見ると、建物の陰からコソコソと数人が出てきた。

ん?あいつら。


「い、いやー。涼が久々にデートするっていう情報を手に入れたもんで...」
「こ、こいつ今度デートらしいからその参考にでもと」
「す、すいませんっ」


カラクの奴らだった。
いつからいたんだ、お前ら。



「最初から尾行してたよね」

「すいません!」



平謝りする奴らを冷めた目で見下している晴夏だったが、どこか嬉しそうな雰囲気を漂わせていた。


こういう日常が楽しいんだろうな、晴夏は。


学校じゃ友達少ないみたいだし。

カラクにはたくさんいるのにな。











可愛い奴...。