今日は可愛い彼女とデート。


映画館に寄って、その後喫茶店でお茶をしていた。



彼女の佐々原晴夏は誰もが振り向く程の容姿で、外に出る度に気が気じゃない。


どこの野郎が一目惚れするか分からんからな。


...........一目惚れした俺が言える義理じゃないが。



「ねえ涼。さっきの映画、なんであれにしようと思ったの?」



向かいに座ってチョコレートパフェを食べている晴夏がそんなことを聞いてきた。

つか、俺(彼氏)とのデートなんだから少しは可愛い服着てほしい。
いつもと変わんねえじゃん。

もうちょっと、もうちょっと気合い入れたのにしてほしかった.....。




「兄貴が、彼女と行くならあれがいいって言ってたからな。女が喜ぶ映画、俺知らねえし」



コーヒーを啜りながら答えた。


あの映画、気に入らなかったのだろうか。

確かにバッドエンドではあったが。
しかし、周囲の席の奴等は感動して泣いていた。


俺はそんなに興味なかったからあまり見てないが。



「なんだ、気に入らなかったのか?」

「別にそんなんじゃねえよ。ただ、共感できなかっただけだ」



ふうん。
こいつ、恋愛観がそこらへんの女と違ってそうだからなあ。


晴夏はパクパクとパフェを食していく。

はあ、可愛い。



「涼があの主人公の立場でもそう言った?」

「あん?」

「.......あ、見てなかったか」



ぎくり。



「死んだ恋人が最後に残した手紙に“俺と結婚してください”って書いて、それを知り合いに託し、婚姻届と一緒に彼女へ渡してもらうの」

「へえ」



そんな内容だったのか。
最後辺りの、ヒロインが泣きじゃくるシーンしか見てなかった。


俺はなるほど、と思っていると晴夏に睨まれた。気がした。



「涼だったら、するのか?」

「その手紙を残すか、ってことか?」

「うん」



俺だったら......。


コーヒーを眺めながら考える。

でも、答えは1つだ。



「そうする」



俺が死んだ後、他の男に晴夏をとられる可能性があるってことだろ。


いや、可能性がある、じゃなくて断言できる。


だってこんなに可愛い晴夏だぜ。
男が放っておくわけねえだろが。



「.....それってさ、彼女にとったら後々荷が重くなるって考えてから出した答えなのか?」

「は?」



眉を寄せながら若干怒ったように晴夏は言った。


なんだ、俺、地雷でも踏んだのか?


怒らせるようなこと言ったか?