所変わって、車庫。


あれから気まずくなり、逃げるように溜まり場へ戻った。


カラクのメンバーが少し増えていたのは、扇風機目当てか。車庫が涼しいからか。



「なんか、あれだな。和也さんの元カノみたいにこきつかわれそうだな俺ら」

「あのときは僕、和也さんと彼女さんに合わないよう注意してたなあ」



ほんとほんと。


先程の晴夏ちゃんを見て思ったことは皆一緒だろう。



「「「パシりにされそう」」」



だよね。



奏太は胡座をかきながら語る。



「俺らのこの関係知られたら、面倒だよな。前すんげえことになったし」



響太は私の膝に頭を乗っけて寝転がる。
ひ、膝枕か。



「だよねえ。全否定されたらややこしくなりそー」



もう何度も否定される経験をしてきたからか、この先が容易に想像できる。



「否定されてもいいじゃん別に。私らに関係ないもん」

「俺らのことだしな」

「他人の目なんて知ったこっちゃないよね」



結局はこの結論に至る。


悪い言い方をすれば二股、良い言い方をすれば逆ハーレム。

この状況をトップの女が知ったらどうなるんだろうか。


和也さんの時は、彼女でも直接カラクには関係してなかった。だって和也さんカラクのメンバーじゃないもん。


でも、和也さんの彼女からしてみれば、彼氏の弟という繋がりでカラクを色々と使ってたりした。


でもそれは、間接的なもの。


あれ買ってきて、これして、あれして。
近くのコンビニ行けば売ってる物。しかも金は出してくれる。命令も、不可能なことではなかった。


しかし、今回はどうだろう。


カラクのトップという肩書きを持っている男をゲットした女だ。


気に入らないメンバーがいれば、即切り離すことさえできる。


涼の女関係はあまり知らないから、和也さんみたいに恋に盲目なのか、それとも彼女に頼まれたからって仲間を切り離すことはしない男か。


私が見る限り後者だとは思う。

思うけど......。



「先が不安になってきたよ、僕」

「同感だな」



ほんとそれ。