ガビョーン


私のハートがガラガラと音をたてて崩れた。


す、好きな人いたんだ....。



「へえ、いんのか。どんなやつなんだ?」

「うーん....可愛い子」

「もっと具体的に」



晴夏ちゃんが根掘り葉掘り聞きにかかり、私はこれ以上知ると大ダメージを喰らってしまう。


しかし、好きな人の好きな人がどんな人か、知りたくないと言えば嘘になる。


少しの好奇心に負け、安藤さんのほうを見る。



「可愛い子。とにかく可愛い子。もっと言うと、髪はショートでふんわり系。純情で恥ずかしがり屋、身長は女子平均でモテる。無自覚なのが結構苦戦中ー」



な、なにそのパーフェクトな女の子は…。



髪はショートでふんわり系、身長は女子平均ってとこは私と似てるけど。



「え、は?それマジで言ってんのか?」

「はい。やっぱ晴夏さんの許可ないと付き合うのは無理ですかねえ」

「い、いや.....いいよ。さっさとコクれば」

「やめてくださいよー。俺五分五分嫌いなんですから。100%OKがもらえる確信ができたならコクりますけど」

「お前案外ビビりなのな」



呆気にとられている晴夏ちゃんだけど、私にはその子が誰なのか検討もつかない。


晴夏ちゃんの口振りからして、晴夏ちゃんは検討がついたのだろう。


晴夏ちゃんのお友達かな。
なら私が知らなくても当たり前か。晴夏ちゃん友達多いもんな。


でも晴夏ちゃん、さっさと告白すればいいって........。
私の気持ち知ってるのに…。



い、いや晴夏ちゃんのことだから、なにかしら作戦みたいのがあるのかも.....!






そんな葛藤を1人悶々としていて、安藤さんがこの後呟いた重要な言葉を、私は知らない。