「あー、腹へった」



私の彼氏、矢野口 涼(やのぐち りょう)。
なんとなんと暴走族のトップだったりする。

去年から付き合い始めて1年くらい。

顔よし、頭よし、ルックスよしの誰もが憧れる理想の彼氏。



「おい晴夏、お前なんか買ってこいや」



性格を除けば、の話だが。


今も腹がへったからと、彼女である私_____佐々原 晴夏(ささはら はるか)をパシろうとしている始末。



「なんで私が買うのよ。てめえで買ってこいや」

「ああん?此処、俺の家だぞ。家主に逆らうのか?」



ベッドで横になりながらこっちを見下してくる涼。



くっそ、腹立つ。



しかもその見下してる表情さえもイケメンとは、神様も余計なものを与えた。

私は読んでいた雑誌を閉じる。



「私も腹へった。ついでに買ってこい」

「は?お前が買ってこいよ。俺のも」

「彼女パシるとか、最低だな」

「彼氏パシるとか、最低だな」



お互い絶対に譲らない。

ふん、そんな怖い顔したって無理。


15:00を指している時計を見ながら携帯を取り出した。