あれから数分経過し、安藤さんと談笑を続けているときだった。


安藤さんはずっと私に付きっきりで、最初に見た、トランプをしていた人たちと会話をしていない。


私に気を遣ってくれているから、というのは私でも気づいた。


そろそろ、終了したほうがいいのかな。


そんな風に考えているけれど、もうふたつだけ、安藤さんに聞きたいことがあった。


恋する女の子....男の子でも、好きな人には絶対聞きたい質問。


でもこれを聞いて、失恋するような返答であったら私はどうすればいいんだろう。

このまま好きでいるのを続ける?
それとも、私には無理だと諦める?

1人でグルグルと答えを想像しながら、俯いていると不意に声がかかった。



「サヤカー、楽しいか」

「うぎゃんっ!」



耳元で横から綺麗な声が聞こえ、思わず乙女らしからぬ奇声を上げた。

奇声、というとちょっと違うか。



「ぷっ、サヤカちゃん可愛い~」



ケラケラと笑う安藤さんに恥ずかしい気持ちで死にたくなった。



「私も混ぜて」

「もちろんですよー」

「ありがと」



すとん、と私の隣に腰を降ろした晴夏ちゃん。

その動作さえ可愛いらしい。



「なあ安藤。ちょっと聞いていいか」

「ん?なんですか」



安藤さんのほうが年上なのに、晴夏ちゃんに敬語を遣っている。

さすが晴夏ちゃんだ。

そういう威圧感があるのか、はたまた涼くんがバックにいるからなのか。


私も晴夏ちゃんに耳を傾ける。



「お前今彼女いるのか?」

「......え」

「ははははははは晴夏ちゃん!!!」



唐突に、真顔で聞く晴夏ちゃんに私は驚愕した。

でも、私も聞きたいことだったから晴夏ちゃんに感謝。


多分、安藤さんよりも穏やかでない心臓。

そっと両手で心臓の辺りを軽くおさえる。



「ま、またいきなりですね」

「まあ......で、どうなんだ?」



安藤さんは苦笑いしながら、否定の言葉を発した。

それに安堵する私。


しかし、その後______




「好きな子なら、いますよ」