「あれ?どうかした?」



貴方の笑顔に惚れました。

なんて言ったら引かれるんだろうなあ。


私は顔を手で覆い、指の間から安藤さんらちらっと見る。



「サヤカちゃんは運動好き?」

「運動、ですか」



新たな話題をふられ、顔の赤みも徐々にひいていくのが分かる。



「運動はそんなに.....好きじゃないってよりは、得意じゃないです。普通だと自負してます」

「あはははっ、自負って!」

「晴夏ちゃんや安藤さんは、得意ですよね」



晴夏ちゃんは体育の成績がいつも5段階評価で5を取っている。
他の教科は2や3とかなのに、体育はすごい。

好きって気持ちがあるからなのかも。

私も美術だけは5だもん。



「俺らの場合、いっつも走ってるからなあ。遅刻ギリギリとかやべえもん」

「え、意外です」

「遅刻ギリギリが?」



これ、言ったら失礼かもしれないけど。



「遅刻なんて気にしない人かと思ってました」

「いやー、俺だって焦るよそりゃあ。サヤカちゃんの言う通り、たまに面倒くさくなって遅れるけど...。単位取らないと進級できないからね」



中学校に単位とかいうものはないから、どういうものかははっきりと理解できない。



それが表情に出ていたのか。



取り敢えず、合格ラインギリギリ点は取らないと2年生になれない。みたいな感じだよー。俺もよく分からないけど。

と、付け加えてくれた。



「そうなんですか!私もはやく高校生になりたいなあ」

「いやいや、なるもんじゃないよ。まあ楽しいけどな!」



高校生活がとても楽しいということは、安藤さんやカラクにいる高校生さんを見ていれば感じ取れる。



私も高校生になったら、安藤さんと並べるかもしれない。


そんなことをわくわくしながら考えていた。