晴夏ちゃんと、矢野口くん率いるカラクの皆さんが集まる溜まり場は、矢野口くんの家の車庫。


シャッターで外から遮(さえぎ)ることができて、あまり近所迷惑にはならない。


その溜まり場には約20人くらい集まる。
けれど、そんなに窮屈ではない。


矢野口くんの家はちょっと大きいから。


しかし20人と言っても、カラクにいるのはまだ結構いる。

他校の生徒や先輩など。

集まれ、って決めてるわけでもないし、適当なんだって。



「お、見えてきた」



学校帰りの道。

まだ太陽が昇っていて、夕方というには明るい。


新築の家が建っている中、一際大きい白い家。

それが矢野口くんの住んでいるところだ。



「すぅー、はぁー」

「深呼吸?」

「だ、だって緊張しちゃって」

「そういうもんか?」

「そういうものなの」



ふーん、とあまり興味無さそうな返事をして指定鞄を斜めがけから、右だけにかけ直す晴夏ちゃん。


相変わらず前を向いてるなあ。