ここは夏休みに蓮とデートで待ち合わせに使った駅であり、恢を見かけた場所。
バスのロータリーから少し歩くと右に小道があり、そこを通り抜けたところ………と京極さんに言われた通りの道を歩いて行く---
大道から外れればもう人っ子一人見る事のない、寂れた町並みが続くだけ。
それでも周りには夜に開くであろう、シャッターの閉まった店が多く並んでいた。
その道を左右見渡しながら、ある看板を見逃さないよう慎重に見ていく---
ここじゃない…。
ここでも…、
ふとドアが開き、人が出てきたのが視界に入った。
一人の男がある店の裏口からゴミ袋を持って、ドア横にあるゴミ箱の中にゴミ袋を入れているのをジッと見つめる。
「…違う…か……」
髪をガッチリと固め、フチの厚い横長の黒いメガネをかけた男だ。
恢とは全く違う。



