「まだ、来てない…か」 そう…、 教室内を見回したけれど、良牙の姿はまだなかった。 生徒会室にも来なかったし、そんなに私に会いたくないの? 折角、浮上した気持ちがまた下がってしまった。 席に着いた私は左横の窓から外を眺めてみる。 傘を差す学生服に身を包んだ生徒達が下駄箱を目指して皆、歩いているのが見えた。 その中に良牙がいるのかは、傘がジャマしてよく分からない。 結局その日、良牙が教室に顔を出す事はなかった。