紅Ⅱ(クレナイ)~解き放たれる鎖~




「まだ、来てない…か」



そう…、


教室内を見回したけれど、良牙の姿はまだなかった。




生徒会室にも来なかったし、そんなに私に会いたくないの?


折角、浮上した気持ちがまた下がってしまった。




席に着いた私は左横の窓から外を眺めてみる。




傘を差す学生服に身を包んだ生徒達が下駄箱を目指して皆、歩いているのが見えた。


その中に良牙がいるのかは、傘がジャマしてよく分からない。






結局その日、良牙が教室に顔を出す事はなかった。