「待ってたぜ」
「京極さん…」
名を呼んだ瞬間、暗闇だから分からないはずのその男の口角が上がるのを感じた。
そして…
ゆったりとこちらに向かって歩いてくる京極さんをただただジッと待っていると、私の肩に乗っていた飛翔の『キュッ』と甘えた鳴き声が聞こえてきた。
止まる事なく歩いてくる京極さんから視線を逸らさないようジッと見ながら、いつの間にか止まってしまっていた飛翔を撫でていた指先を動かす。
私の指先に合わせるように飛翔の頭を動いているのは感じていたが、それよりも気になるのは京極さんだ。
私がここに来る事を知っていたの?
何で、ここにいるの?
何故…、飛翔と仲がいいの?
目の前まで来た京極さんの表情はやはり、口元に笑みが毀れていた。



