紅Ⅱ(クレナイ)~解き放たれる鎖~




自分の気配を消し、もう一度耳を澄ます。


鷹の遺伝子を持つ私は、普通の人間よりは耳がいい。



だからここから大分離れている、一羽と一人の話し声を聞き取る事が出来るのは不思議ではないのだけど…




飛翔と、あの男が話してる?


鳥が人間と話すの?




飛翔の『ピェー』と言う鳴き声にその男はまるで何を言っているか分かるかのように、話しかけているのだ。


いくら私が鷹の遺伝子を持ってると言っても、飛翔の言葉が分かるわけはない。




…って事は---




分かっている風を装って話しかけているのかな?


それにしては妙に飛翔が楽しげに、鳴いているのが気になった。




疑問符でいっぱいになった私はまた足を進める為、先程よりも早歩きで歩き始めた。