紅Ⅱ(クレナイ)~解き放たれる鎖~



「あっ…」


「綾香はミルクティーに、マシュマロを入れて飲むのが好きでしたよね?」



微笑を浮かべながら時政先輩は、私の目の前にいる章吾にポットからお湯を注いで緑茶を用意していた。




あれ?


いつの間に章吾は、椅子に座ったのだろう?




自分の目の前に緑茶を置いてもらった章吾は時政先輩に礼をし、そしてスズッと美味しそうにお茶を飲んだ。



私の目の前にある三人がけソファーにいるのは、お茶を飲んでいる章吾とコーヒーを出された鏡夜。




そして最後に登場したのは、蓮。


私の左横にある一人がけソファーにドカリと座った蓮に、時政先輩は軽やかな陶器の音をさせながらコーヒーを置いた。




鏡夜も蓮もブラックで飲むのは、やはりいつもの事…。