紅Ⅱ(クレナイ)~解き放たれる鎖~



チラリとワゴンを見ると、七人分のカップやティーポット。


その内の二つのカップにはコーヒーが注がれていて、残りはまだ飲み物が注がれていないティーカップがある。



空のカップはきっと、席についてから注いでくれるのだろう。




ワゴンを運ぶ時政先輩の後ろから歩いているのは、私とさっきまで話しをしていた双子達。


ワゴンの上に置かれている美味しそうなお菓子を、後ろから楽しそうに見ている。




「「僕達、紅茶ねぇ~」」


「はいはい、分かってますよ」



時政先輩は、皆の好みを熟知してくれている。



そんな先輩がいつも先頭をきって、切りのよさそうな時間を見計らってこうして飲み物を用意してくれるのだ。




本当はこんな時、女性が用意をするものだよね?


そう思った私は以前、時政先輩に次は私がやりますと言ったけど、先輩は微笑を浮かべながら首を横に振った。