放課後になり見慣れた煌びやかな生徒会室内で私は、明日行われる文化祭実行委員会で配布される用紙を印刷するべくボンヤリとコピー機に向かい合っていた。
「…良牙」
結局、良牙は私に背を向けたあの後、教室に戻ってくる事なく放課後を迎えてしまった。
良牙を怒らせてしまったのだろうか?
興味本位であんな事、言わなきゃよかったかな---
今更、後悔したところで遅いのは分かっているけど、これで良牙とはもう話しも出来なくなってしまったら兄弟としては凄く悲しい。
「はぁー…」
「あやーか、どうしたの?」
大きなため息一つついた時、後ろから聞きなれた声がして勢いよく振り向いた。
赤く染められた髪を揺らめかせながら私に微笑む朱里に、思わずホッと息を零す。
双子の朱里と青治にはどこか人の気持ちを穏やかにさせてくれる作用があるのか、この二人を前にすると私の心が自然と心地よい気分にしてくれるから私にとっての癒しである。



