紅Ⅱ(クレナイ)~解き放たれる鎖~



それから私の教室まで送ってくれた蓮は私に何も言わず、そのまま去って行った。


そんな蓮を傍にいた生徒達は驚いた顔をしたがもすぐに、モーセの十戒のように左右に分かれていく。



その中を、悠々と歩いていく蓮の後姿を見送った。





「京極 雅斗。それに転入生………、か………」


蓮の小さくなってゆく背を見ながら、呟いた---




これから…、


何かが起こるのだろうか?



一抹の不安にギュッと瞳を瞑る。




………でも、何があろうとも大丈夫。




私は一人じゃない。




私には蓮がいる。


それに弟の良牙や、生徒会の皆だって…。




何かあれば、私が皆を守る。




絶対に…、


何があろうとも---





だから私は怖がることなく、ただ前を向いて歩けばいい。




まるで自分に言い聞かせるように心の中で呟き、そしてざわめく朝の教室の中へと入っていった。