「俺の知っているヤツが転入してくると言うのが気になるが、いずれはその転入生とやらがこの学園に来れば分かる事だ。別に転入生について、調べるまでもないだろう」
「…そうだね」
転入生…。
その言葉に、不安が募っていくのは何でかな?
気のせいだといいんだけど---
「そろそろ行くか?」
そう言った蓮は私に近づき、そして一瞬躊躇した目の前の唇は私の頬に軽くキスを落とし離れた。
躊躇したのは私が先程、蓮のキスを止めてしまったからなんだと思う…。
だからまたキスをして拒否されたら…、と戸惑ったのかも---
蓮は私の先ほどの態度を全く気にする素振りは見せないけど、本当のところはどうなのかな?
聞くに聞けないその言葉をグッと押し込んでいると、少しホコリっぽい空き教室のドアを蓮が開けた。
扉の前から出て行く事なく、私が来るのをジッと待っている。
それに気付いた私はボンヤリしていた思考を戻し、蓮の傍へと近づく。



