下駄箱で上履きに履き替え、それからすぐに蓮によって空き教室へと連れ込まれてしまった。
教室に行くのかと思っていたからびっくりだ。
何か話しでもあるのかな?
小首を傾げながら蓮を見上げた瞬間、私の肩に両手が乗せられる。
いくら蓮の顔を見慣れているといってもやはりこの学園で一番、端正な顔立ちの持ち主にジッと見られるのはどうにも恥ずかしくてテレてしまう。
「蓮?」
今だジッと私を見てくる蓮に焦れて、声をかけてみた。
しかし蓮は私に答える事なく、私を見つめたまま。
どうして何も言わず、私を見ているのだろうか?
不思議に思っていた時、先ほどの出来事を思い出した私はもしかして…ともう一度、蓮を観察するように見た。
さっきからずっと、ピリピリとした空気を醸し出している蓮。
やっぱりあの男とキス…、されてしまった事が原因…のような気がするのだけれど…。
でもあれは頬に軽く、キスをされただけ---



