「蓮…、ちょっと待っててね」
「……あぁ」
頭のいい蓮は、すぐに私がどこに行くのか気付いたのだろう。
私の手をそっと離し、次郎丸へ視線を向けた。
私はというと次郎丸へと駆け寄り、目の前で立ち止まるとニコリと微笑んだ。
「次郎丸、おはよっ!」
「………おはようございます、綾香様。………今日は会長と一緒にいかれるんですね?」
一瞬、見惚れたかのようにボーっと私を見ていた次郎丸はすぐに頭を下げ、私に挨拶を返してくれた。
顔を上げ、もう一度私を見た時の次郎丸の顔は、どこか悲しげに見つめてくる。
その顔を見てすぐに申し訳なかったな…、と思ったけどこればっかりはしょうがないよね…?