「もうすぐ転入生が来るで」
「………」
「しかも、一人はカイチョーさんの知ってる人や」
「俺の知っているヤツ?…誰だ」
「それは後のお楽しみってもんやで」
蓮の知っている人?
一人は…、って言っている事から転入生は一人ではないと言う事。
「何故、生徒会長の俺が知らさせていない事をお前が知っている?」
「なんでやろねぇ~?」
蓮の質問にまるで答える気のなさそうな京極さんに蓮はため息を一つつき、背を向ける。
私の腰に回している蓮の手に少し力がかかったのを感じながら、蓮が歩き始めるのと同時に私も足を一歩踏み出した。
「ま~たね、綾香ちゃーん。……クッ…、クックックックッ…」
楽しそうに笑っている京極さんの声が後ろから聞こえてくる。
私達はそれを気にしないよう前を向き、蓮と一緒に一階を下りてすぐ特別棟を後にした。



