紅Ⅱ(クレナイ)~解き放たれる鎖~



「行くぞ、綾香」


「う、うん」



私の腰に手を回した蓮が、私に歩くよう促す。


京極さんの脇を通り抜けた私達は、階段をゆっくり下りていった。




京極さんからは、動く気配が全くない。




気になった私は思わず、チラッと後ろを振り返ってみた。


こちらをジッと見ていた京極さんと、バッチリ目が合い目を瞬いた。




ずっと…、


私達を見ていたの?




どこか楽しげに、私達を見ている京極さん。




「あぁ、せやせや。言い忘れとったわカイチョーさん」


「………」




何も言わずに無言で振り返る蓮を見ながら、もう一度京極さんを見た。


その顔はやはり先程同様、面白そうに笑みを浮かべている。




…ううん、違う。




何かを含んだような、そんな笑みを浮かべていたのだ。



一体…、


何を考えているのだろうか?




まるでこれから何かが起こると言うような…、


それが楽しくてしかたがないと言う笑みに、嫌な予感がしてゴクンと喉を鳴らした。