紅Ⅱ(クレナイ)~解き放たれる鎖~




「時政先輩?あ、あの…」


「あ、綾香。すみません。…それでは気を取り直してもう一度、あ~ん…」


「い、いえあの…、それよりも」


「はい?」



たかが『あーん』されど『あーん』…、


こんな事で険悪な雰囲気になって欲しくはないと思った私は、何も考えずに話しを変えようとした。




けど…、


何の話しをすれば?………、あっ!!!




私の脳裏に過ぎったそれに、一瞬で視界が暗くなった気がした。




それでも…、


今、聞きたいと思っているその事はやっぱり聞いておいた方が良い…、と言うより聞きたい。




覚悟を決め、一度、オレンジジュースを飲み込む。


そしてもう一度、時政先輩を見た。



物凄く真剣な表情の私に驚いたのか、パチパチと目を瞬く時政先輩。


しかしすぐに、いつもの優しい笑みを私に向けてくれた。