「時政先輩?あ、あの…」
「あ、綾香。すみません。…それでは気を取り直してもう一度、あ~ん…」
「い、いえあの…、それよりも」
「はい?」
たかが『あーん』されど『あーん』…、
こんな事で険悪な雰囲気になって欲しくはないと思った私は、何も考えずに話しを変えようとした。
けど…、
何の話しをすれば?………、あっ!!!
私の脳裏に過ぎったそれに、一瞬で視界が暗くなった気がした。
それでも…、
今、聞きたいと思っているその事はやっぱり聞いておいた方が良い…、と言うより聞きたい。
覚悟を決め、一度、オレンジジュースを飲み込む。
そしてもう一度、時政先輩を見た。
物凄く真剣な表情の私に驚いたのか、パチパチと目を瞬く時政先輩。
しかしすぐに、いつもの優しい笑みを私に向けてくれた。



