「綾香ちゃんの弟は大丈夫なん?」
「あっ!」
言われて良牙の事を思い出した。
今だ倒れこんだまま動かない良牙のもとへと駆け寄り、良牙の顔を覗き込んでみる。
瞳を閉じた良牙はピクリとも動かず、まだ動きそうにはない。
そんな様子に私はソロリ…、と手を伸ばしツンツンと頬を突いてみた。
「…動かないなぁ」
「ふーん」
頭上から京極さんの声が聞こえはっと上を向くと、いつの間にか私の傍に立って良牙を見下ろしている。
足音をさせず…、それどころか気配さえも感じさせないこの男は、本当に一体何者なのだろう?
驚いている私の事など全く気にする事なく良牙の頭上まで足を動かした京極さんは一度、私を見た。
それはもう、極悪非道な笑みを私に向けながら---



