ここは特別棟---
生徒会・風紀委員・理事長以外、あまり来ることのないこの棟は、生徒会と風紀委員が持っているシルバーカードキーや、先生や理事長が持っているゴールドカードキーがなければ入ってはこれない。
通常、一般生徒が持つ『白』のカードキーでこの特別棟が開くことはないのだ。
という事は、普通に考えれば生徒会にこの男はいないのだから、風紀委員なのだろう---
「ならここで、自己紹介しまひょっか?」
「…九門 綾香……です」
関西弁のこの男はニッと白い歯を見せるけど、…やっぱり瞳が冷たく感じる男の笑みには違和感が募るばかりだ。
眉を寄せながら、先に自分の自己紹介をしておく。
そんな私の顔を見て、更に口角を上げたのは何故なのだろうか?
「俺は京極 雅斗や。九月に入ってから風紀副委員長に任命されたんやで。よろしゅーな」



