「相変わらず冷たいなぁ、綾香ちゃんは」
「…近づかないでよ」
「そないに毛ー、逆立てんでも何もせーへんから安心しーや」
「信じられない」
「クッ、かなり嫌われてんやな俺。…残念や」
全く残念そうには見えないこの男はフェンスに寄りかかると腕を組みながら、ククッ…と何とも悪そうな笑みを浮かべた。
京極さんの言い方も態度もかなり不満だった私はもう一度、京極さんを睨み付けてやる。
しかし相手は京極さん。
私のそんな睨みなど一切気にする素振りを見せない。
そんな京極さんの態度に諦めた私は軽く溜息を吐くと、京極さんから視線を逸らしてもう一度、下へと視線を向けた。
それにつられるように、京極さんもフェンスに寄りかかったまま視線を下に向ける。
ルキアも瀬谷君ももういなくなった階下を見ながら、思考は先程一瞬だけ見えた影を思い出していた。
さっきのは一体?
暫くジッと視線をある一点だけ見つめていたら、視線を感じた。
視線だけを傍にいる京極さんに向けると、ニヤリと笑みを浮かべている京極さんと目が合って思わず目を細める。
なんとも嫌な笑みを浮かべる京極さんは、そのままゆっくりと口を開いた。



