紅Ⅱ(クレナイ)~解き放たれる鎖~



「私、ちょっと良牙が心配だから行ってくる」


「…いってらっしゃい、綾香。今日はお仕事せず、帰ってもいいですよ」


「ううん。すぐに戻ってくるね」



昨日だって生徒会の仕事をせずに私は帰ってしまったんだ。


いつまでも甘えてられないと、時政先輩に首を振ってみせた。




「補佐の仕事なんてたかが知れてんだから、綾香ちゃんがいなくても大丈夫だぜ」


「鏡夜…」


「…寂しいけどな」



切なげに目を伏せた鏡夜は、それをまるで振り切るように私に背を向けた。


そして自分の席へと歩いて行く。




出会った頃に見せてくれていた、あの強気な表情とは打って変わった今の鏡夜に胸が苦しくて…



椅子に座った鏡夜から、私は視線を逸らした。




「じゃ、行ってきます」


「あ、うん。行ってらっしゃーい」


「お気をつけて」



生徒会の人達の声に答えるように微笑む。



そして今だ開いている扉へと足を進め、そして生徒会室から出た私はそのままパタンッ…と扉を閉めた。