「私、ちょっと良牙が心配だから行ってくる」
「…いってらっしゃい、綾香。今日はお仕事せず、帰ってもいいですよ」
「ううん。すぐに戻ってくるね」
昨日だって生徒会の仕事をせずに私は帰ってしまったんだ。
いつまでも甘えてられないと、時政先輩に首を振ってみせた。
「補佐の仕事なんてたかが知れてんだから、綾香ちゃんがいなくても大丈夫だぜ」
「鏡夜…」
「…寂しいけどな」
切なげに目を伏せた鏡夜は、それをまるで振り切るように私に背を向けた。
そして自分の席へと歩いて行く。
出会った頃に見せてくれていた、あの強気な表情とは打って変わった今の鏡夜に胸が苦しくて…
椅子に座った鏡夜から、私は視線を逸らした。
「じゃ、行ってきます」
「あ、うん。行ってらっしゃーい」
「お気をつけて」
生徒会の人達の声に答えるように微笑む。
そして今だ開いている扉へと足を進め、そして生徒会室から出た私はそのままパタンッ…と扉を閉めた。



