紅Ⅱ(クレナイ)~解き放たれる鎖~




「動物の遺伝子投与…」




思わず呟いた声は以外にも廊下に響き、はっと辺りを見渡したが誰もいなかった。


止めてしまっていた足を再び動かし、視線を少し先に見える廊下の端っこへと移す。



歩き始めた私の思考はまた、動物遺伝子について脳を埋め尽くした。





動物遺伝子の投与---



そう…、


蓮の父親の会社である一条製薬は、人間に動物の遺伝子を投与し変身人間を作り出す研究をしている。



その研究材料として蓮の弟は、犠牲となってしまったと聞いた事がある。



しかし、犠牲になったのは弟だけではない。




蓮だってそうだし、私や弟の良牙に私の母親も。


後は良牙の親友であった峰岸 章平、この学園の風紀委員長だった桐生 恢だってそう。




私や蓮、良牙は投与される事によって得たものは摂取された動物遺伝子の力と、感情が高ぶると瞳の色が変化すると言うもの。



第二段階まで投与された私の母、恢、峰岸章平は変身人間となる。




しかも峰岸さんの場合は投与の失敗により、変身人間となったまま人間に戻る事が出来なくなってしまった。