紅Ⅱ(クレナイ)~解き放たれる鎖~



「綾香。ここにいる二人が試験後に入ってくる転入生だ」


「二人?」



ルキアさんからゆっくりと視線をずらしてゆくと、




本当だ---


蓮の斜め後ろに、男の人が一人立っていた。



最初の印象は酷く…、影の薄い感じだった---


艶のある黒い髪はツーブロックショートで、吹き上げるような無造作ヘヤーとはまた違った感じ。


前髪は右に長く流し、右目が隠れている。




冷たい切れ長の瞳が一瞬、私を捕らえた…がすぐに視線を逸らされた。




「こっちは瀬谷 慎。お前と同い年だ」


「あ…、宜しくお願いします」


「………」



私の言葉に何も返事をする事なく、冷めた瞳がボンヤリと何かを見つめている。




違う…、


何も見つめていない?



ジッと瀬谷君を見つめていると耳心地良い、蓮の声がまた聞こえてきた。