「綾香。ここにいる二人が試験後に入ってくる転入生だ」
「二人?」
ルキアさんからゆっくりと視線をずらしてゆくと、
本当だ---
蓮の斜め後ろに、男の人が一人立っていた。
最初の印象は酷く…、影の薄い感じだった---
艶のある黒い髪はツーブロックショートで、吹き上げるような無造作ヘヤーとはまた違った感じ。
前髪は右に長く流し、右目が隠れている。
冷たい切れ長の瞳が一瞬、私を捕らえた…がすぐに視線を逸らされた。
「こっちは瀬谷 慎。お前と同い年だ」
「あ…、宜しくお願いします」
「………」
私の言葉に何も返事をする事なく、冷めた瞳がボンヤリと何かを見つめている。
違う…、
何も見つめていない?
ジッと瀬谷君を見つめていると耳心地良い、蓮の声がまた聞こえてきた。



