「あ、そう言えば綾香様、お聞きになりまして?」
「ん?」
うどんをすすりながら横目で静香さんを見れば、いつの間に食べ終わったのかお茶を一口コクリと飲んでいるのが視界に入った。
飲んで落ち着いたのかほっと息をつきながら、湯飲みを置く静香さん。
そして一呼吸置いてから真剣な顔で、うっすらとリュージュの塗っている唇を開けた。
「再来週、転入生が来るみたいですわよ」
「…来週の試験が終わってから来るんだ」
「そのようですわね。…でも寮には今日から来るみたいですけど」
「その転入生の名前って聞いてる?」
私の言葉に静香さんはコテン…と首を傾げてから、章吾へと視線を向ける。
その章吾は静香さんの無言の問いに首を横に振った。
そっか…、風紀委員長でも分からないのか---



