「くすくすくす…」
「子供じゃねぇんだ。…手なんかつなげるか」
「えー、いいじゃん。ね?」
甘えたようにそう言うとしょうがねぇなと言いながら、しぶしぶ…という風に手を差し伸べてきた。
熱く大きな手が私の手を包み込む。
一日ぶりに普通に話せた事がこんなにも嬉しいのか…
私の視界が少しぼやけた---
でもそこはグッと我慢し、恢に向き直る。
いつの間にか恢も傘を手に持っていたが、傘は差していない。
傘を開いても意味がないと思ったからなんだろう…
全身、雨でずぶ濡れだしね。
私ももう傘など意味がない程に濡れてしまっていたけれど、我が弟と相合傘をしたいから傘は開きっぱなしだ。
「また来るね」
「いや…、もう来ない方がいいだろう」
視線を今だ倒れているその男達にやりながせそう言うが、私は首を振りニッコリと笑った。



