「綾香?」
私を呼ぶ恢の声が聞こえる…
それに反応できずにいると、私の前に影が現れた。
「………ッ!」
え?
私の身体を包む温かさに、目を瞬いた。
私を包むこの香りは---
「恢…」
「………」
優しいその温もりに、序々に震えていた私の身体から固さが取れていく。
ふー…、と息をつきながら顔を恢の胸に摺り寄せた。
安心するその温かさが酷く、心地よい。
蓮にも抱きしめられると心地よいと感じるけど、それとは違う安心感は一体何なんだろう?
恢の醸し出すその気配に、私を安心させてくれる。
まだ離れがたいけど、これ以上抱きしめられていたらダメだよね---



